和真の指が、器用にあたしの足の間に伸ばされる。
あたしは抵抗することなく、和真の指を受け入れる。
あたしを知りぬいた和真は、なんの苦も無くあたしの呼吸を極限まで乱すことができる。
そんなあたしを見ながら、和真もかなり苦しく興奮していた。
「ホントはさっき…」
荒い呼吸の狭間で、和真は喘ぐようにそう言った。
あたしは何度か昇らされて、すでに頭は現実的な状態で無くしながら、和真の声に耳を傾ける。
「カウチで寝てる由梨絵さんを、起こしたくてしょうがなかったんだ」
そう言いながら、あたしの足の間に自分を滑り込ませる。
「寝惚ける由梨絵さんの中に入ったらどうかなって。
 でも、寝顔見てたらできなくなっちゃった」
「あっはぁっ」
最初から一番奥に届かせられて、あたしは思わず声を上げて仰け反った。
和真の熱い場所は、さっきよりも遥かに熱を帯びて、あたしの中をかき回し始めた。
「和真…や……」
「子供みたいな顔で寝てるんだもん。
 ホントはこんなにいやらしい顔で僕を欲しがるくせに」
体を起こした和真は、あたしの顔をじっと見つめながら、切なそうな吐息を何度も繰り返す。
そうしながら、あたしを責め立てる腰の動きは容赦が無かった。
「だめ、和真くん」
「何が?」
「そんなに見ないで」
「嫌だよ。僕を欲しがってる由梨絵さんを見るのが好きなんだから」
「や…あ、あぁんっやぁ!」
反らせた体を和真が抱きしめた。
まだビクビクしている肩先に優しくキスをされて、何故か泣きそうになる。
「いやらしいなぁ…僕に見られてイッちゃうなんて」
くすり、と耳元で笑われて、情けないほど感じてしまう。
かぁっと顔が熱くなるのがわかって、和真の視線がたまらなく恥ずかしい。
「もうっおしまい!」
むっとして和真の抱擁から逃れようとすると「ずるいよ。自分だけなんて」などと、面白そうにあたしを抱き締めなおす。
「あっ」
和真はつながったままごろんと寝転がると「最後は由梨絵さんがして」と、軽く命じるようにあたしを見上げた。
欲情して濡れたような瞳。
たまらない雰囲気であたしを見つめて、切なそうな吐息を漏らす。
あたしは和真の上に上半身を伸ばして、ゆっくりと腰を動かす。
同時に舌を絡めるキスをすると、和真は吐息の狭間でキスを返して来た。
窓の外は木枯らしが舞っているのに。
ベッドの中は、そこだけ灼熱の熱帯夜のように、熱く、ねっとりと甘かった。
あたしの腰の動きに合わせて、和真は苦しそうに喘ぎながら、自分の腰も突き上げてくる。
感じてしまう体をもてあましつつ、あたしも和真を責め立てるのに必死だった。
何度か和真にイカされているあたしの体は、もうこれ以上無いほど敏感になっているから。
「あぁんっ」
和真の先端が、あたしの敏感な場所をこすった。
びくん、と体が震えてしまう。
和真はそれを合図としたように、下から激しく突き上げて来た。
「だめっ和真」
自分でも和真を締め付けているのがわかる。
あたしはもう、和真を責めることもできずに、ただ、和真の突き上げに体を震わせていた。
和真はあたしの腰を掴んで、一心不乱に突き上げてくる。
「あぁっ由梨絵、イク…いい?」
突き上げながら苦しげな表情でそう聞くと、あたしの返事を待たずに「由梨絵」とあたしの名前を強く呼んだ。
一番奥に、どくん、と熱い塊がみなぎる。
一瞬だけ妊娠の二文字が脳裏を過ぎったけれど、直後の狂おしいほどのキスにかき消された。

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