「あっんっ」
声を封じるようにキスをされて、至近距離で感じてる赤い瞳を見つめる。
コータくんの首に腕を回すと、えぐるように奥まで突き上げて来た。
キスで呼吸が苦しい。
それでも、キスが欲しくて。
キスの嵐の中でもみくちゃにされながら、下からの突き上げに体が浮き上がりそう。
そんな激しいやり方でも、どんどん感じちゃう。
コータくんとキス、してるから?
そうかもしれないけど、でも……。
「コータ…」
激しい呼吸の間でコータくんの名前を呼ぶ。
「なに?」
瞳の赤が薄れて来たコータくんも、激しい呼吸の間で答えた。
「好き」
あたしの囁きを捉えたコータくんは、とても幸せそうに微笑んだ。
あたしはその微笑みで幸せになって、こんなことしながらでもうっとりしちゃう。
「愛してるよ、由那」
直後、スパートをかけるように激しいコータくんに面食らいながら、あたしはそのまま、気を失いそうなほどの快感の波頭に持ち上げられた。
「ああ…気持ちいい。由那」
あたしの一番奥に届かせて、コータくんが呻くようにそう言った。
コータくんの腕の中で。
うっすらとした化学準備室の香りに包まれて、あたしは声も出ないほど幸せだった。
 
「由那もどっかで涼んで来たの?」
昼休みの終わりに、隣のクラスから帰って来た茉莉絵に聞かれた。
コータくんとえっちしてから、二人でこっそりプールのシャワーを浴びちゃったんだ。
水泳部の人たちも、昼練はしないんだよね。うちの学校。
だからすっきりさっぱり。
「んー。暑いから図書室とかぶらぶらして来た」
かーるく嘘をついて、涼しい顔で教科書を開ける。
スズメを埋葬したお陰で、うちのクラスのクーラーも復活したんだ。
だから、午後の授業は快適快適。
「それにしても、なんだったんだろうね。クーラー故障の原因て」
茉莉絵の問いかけに、一瞬、白衣のコータくんがうずくまる姿が蘇ってきた。
その手の先に、瀕死のスズメ。
コータくんが送ってあげて、痛みから解放されて穏やかに逝った。
『あのスズメは苦痛の代わりに快楽の中で死んでいったんだ。
 由那。その快楽をお前も味わって俺の糧になれ』
うわ…。
フェロモンコータくんが頭の中で炸裂〜〜!
「どうしたの? 由那。
 顔赤くない?」
「なななんでも? ちょっとまだ、暑いなーって」
あははは、と笑ってごまかして、頭の中から赤い瞳を追いやる。
午後の授業の間中、ずっと思い出しちゃうかも…。
白衣の匂いと赤い瞳。
ひ〜ん。今日帰ったら、いっぱいコータに甘えちゃお。

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